01 4月 2015
第2回 なぜ女性・若者は言うことをきかないのか?
田原祐子
時代とともに、人の心は変わっていく…
昔は、部下は上司の命令を何の疑いも持たずに聞き入れ、素直に「言われたことを、言われた通りに」動くものでした。
上司に少々理不尽なことを言われても「はい!わかりました」と二つ返事で実行し、結果はどうあれ上司もきちんと責任を持ってマネジメントしていました。
しかし、そんな時代は、‘今は昔’。上司が何か指示をしても、女性や若者たちはなかなかスンナリ動いてくれません。「なぜそんなことをするのでしょうか?」と上司に確認したり、中には自分自身が納得できないとテコでも動かない人もいます。
また、あっさり「できません」「今、手一杯です」と断るケースもありますし、今では、恐ろしいことに「逆パワハラ」と言って「あなた(上司)がやればいいんじゃないですか?」と逆襲されることさえある始末です。
いらだつ上司、部下とのギャップに苦しむ
昔は、部下が「できません」などと言おうものなら、上司からおそらく灰皿の一つでも飛んで来たでしょうから(今は、職場が禁煙で、灰皿さえもありませんが…)、今の時代の上司の心中は穏やかではありません。
最初のうちはそんな部下(女性、若者)にギョッとし怒りが込み上げますが、そんな光景が日常茶飯事になってくると、そのうちあきらめモードになってくるのです。
ただ、潜在的に今の上司たちは「自分たちが部下の時には、精一杯上司に気を使って来たのに、なんで自分らは我慢しなくてはならないのか?」という不満や疑問を抱き続けていますから、日頃は我慢していても、部下の態度が鼻持ちならなくなってくると、いきなりドカンと爆発してしまうこともあります。
マネジメントは、時代とともに「変えるべき」
私はコンサルタントやアドバイザーとして組織の問題を根本的に解決しながら、そんな上司や経営者をなだめたり、サポートしたりしていますが、こうした【感情】の鬱積(うっせき)した部分は、「今は、それが当たり前なのですから、あまり、腹を立てたり、怒らないようにしてください」と伝えたところで解決が難しいものです。
本来、時代とともに、マネジメントは変えるべきなのです。
というのも『マネジメントの成果は、相手(部下)が動かなければ、上がらない』からです。いくら上司に力やノウハウがあっても、自分の部下が動かなければ、結果は出ないばかりか、部下との信頼関係すら築けないものです。
そして、時代や環境とともにヘアスタイルや服装が変わっていくように、人々の価値観(ライフスタイル、家族観、仕事観)も変わって行きます。
私は悩める上司や経営者の方々に「人口から考えてみてくださいね。これから、就業人口のボリュームゾーンは、あなたの目の前にいる部下の年代の人たちです。いずれは上司の年代の人たちの感覚が主流ではなくなり、彼らの価値観や彼らに合ったマネジメントが普通になり、邪魔者扱いされるようになるのですよ」と説明します。ある種、あきらめて上司や経営者が自分自身やマネジメントを変えていくしかないのです。
どこの企業にもある、こうした状況をいかにうまく解決するかをこの連載でもお伝えしていきます。
田原祐子 Tahara Yuko
株式会社ベーシック 代表取締役
国際認定経営コンサルタント
世界46カ国が加盟する国際公認経営コンサルティング協議会の認定を持つコンサルタント(The Certified Management Consultant (CMC))。外資系人材派遣会社のセールストレーナー、経営コンサルタント会社の新規事業室長を経て、1998年に研修・コンサルティング業務を柱とする株式会社ベーシックを設立。独自の〝フレーム&ワーク〟メソッドによって、関係構築型で確実に実績を上げるコンサルティング、営業マン育成や同行訪問による現場での実践指導、時間短縮と業務効率化の両立を手掛け、これらを融合した人材育成の仕組みづくり、営業ノウハウの共有化、顧客データベース構築、マネジメントスキーム構築等の、経営指導を得意とする。特に住宅・リフォーム・不動産業界の現場に精通しており、地方の小さな企業から東証一部上場企業まで、営業戦略、事業継承、人材育成、新規事業立ち上げ、女性活躍推進等のコンサルティングやプロジェクトマネジメントでも、高い評価を得ている。オール電化の普及率を70倍にアップさせた「オール電化」の陰の仕掛け人でもある。著書には、「女性パワーで家は3倍売れる」(住宅新報社)、「女性客のハートをつかむ住宅営業必勝マニュアル」「住宅営業そのやり方を変えましょう」(実務教育出版)等13冊、業界誌への執筆多数。
株式会社ベーシック http://www.basic7.com/