13 3月 2014
家と小説 – コラム Adagio
私の趣味でかなり時間とお金をつぎ込んでいるのがとても月並みですが「読書」です。
漫画も勿論読みますが、主題が恋愛もの、また純文学といわれるようなもの、ついでにプロレタリア文学以外でしたら防衛白書から歴史新聞までとにかく何でも読みます。
時折、海外のお城や豪邸紹介で書斎などが紹介されると壁一面に造りつけの棚に一冊で殺人可能な重みのある本がぎっしりとつまり、可動式の梯子までついているのを見てはこの部屋だけでいいから私に住まわせてほしい・・・と本気で思ったものです。
本の醍醐味は当然内容ですが、絵本や漫画などと違い言葉から脳内で三次元の世界を構築する楽しみが私にとっては一番となります。
そして、当然地味に余計な現実を取り込むのが得意な私は本に合わせて、その時代背景、町並み、登場人物、生活様式、服装からそれこそトイレまで妄想を広げてどっぷりとその世界に浸りこむのが大好きです。
同じ時代小説でも西洋と日本、中国などではがらりと世界はかわります。
日本の幕末の内戦でも京都と江戸では色々なものが違ったわけですから、イメージをする際には瓦屋根は江戸よりも京都の方がなだらかだったのかな、出入り口が狭い京都では長州で人気だったやたら長くした日本刀は不便だっただろう。
布団一枚にしても、四角い布団と着物(かいまきタイプ)型の布団では雰囲気も変わりますし、トイレの場所も違います。
かたや日本の幕末の内戦と似ているフランス革命後の有名なヴァンデ戦では石造りの家や小さな城、異国情緒溢れるものの、貴族の館では首都パリで王妃が生地の色を見てノミの背中やら腹やら言い出していた事を考えれば田舎はもっとダニもヒルもいたに違いない。
そして、いつの時代にも人は体内に寄生虫を飼っていた事だろう。ここまで色々と考えてしまうと、我ながら感心するくらいです。
歴史や時代ものでこうですから、ミステリーになりますと、特に密室と呼ばれる分野では頭の中に家の構造は勿論、どんな様式でどんな家具が置いてあったのか?ワクワクしつつ考えてしまいます。
すらすらと図面が出来て3Dになってくれる場合もあれば、何がどうなっているのかどれだけ考えても平面図さえよくわからないものもあり、納得できないと作者の技量の問題なのか、それとも私がまだまだ未熟故なのか、もし有名な設計士だったら数行足らずの説明で脳内CADを立ち上げられるのか、微妙な気分になります。
しかし、ある時、同じ趣味の本を貸し借りしている仲間とあれこれ感想を言い合っていたところ、殆どの友人がトリックとか部屋の雰囲気まで考えない、と言いだし、面倒臭い読者呼ばわりされた私を含むごく少数のイメージ造りと犯人探しは当然する派はとてもとても肩身の狭い思いをするハメになったのでした。
ホラー小説などは最も想像力や妄想力が必要となるものかと思いますが、さて、皆様はどちらでしょう?
(ちなみに、イギリスやアメリカの女性作家だとマホガニーとかヴィクトリア朝の、とか素材や年代、様式まで羅列されているのでとてもイメージしやすいのですが、それだけ建物に関する知識が出てくるのが普通なのか、それとも拘る傾向が強いのかもやはり気になります)