25 12月 2015
基礎ぐい問題で報告書 設計・施工・工事監理のルール策定へ
横浜市内のマンションで基礎ぐいの性能不足が判明した問題で、対応を検討してきた「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」(委員長:深尾精一首都大学東京名誉教授)は12月25日、再発防止に向けた具体的な提言を盛り込んだ中間報告書をとりまとめた。これを受け、国土交通省は基礎ぐいに関する設計・施工・工事監理のルール策定を進める。
報告書では、問題のきっかけになった旭化成建材以外にも多くの施工事業者の工事でデータ流用が判明したことにも言及。ただ、主な要因は機械の不具合などでデータ取得ができなかったためとし、データ流用と建物の安全上の問題との関連性は低いとした。
再発防止に向けては、発注者、設計者、元請け、下請けの責任と役割を明確にし、データの流用を許容しない業界の風潮・個人の意識の醸成が必要とした。その具体的な対策としては、早急に国が設計・施工・工事監理のルールを示し、それに基づいて業界側が現場の実情に即した自主ルールを策定して、現場への浸透を図っていくべきとした。
また、元請け・下請け・孫請けといった業界の構造的な問題については、元請けに対する管理の強化を求めるとともに、下請けの主任技術者の配置の適正化を図るほか、実質的に施工に携わらない企業を施工体制から排除していく方向性を示した。
施工責任を専門的な見地から審査・検証・調停する中立的な組織・機能の必要性も指摘。施工に関する情報公開の推進も提言した。