26 10月 2011
Maison&Objet/ Paris Design Week レポート
サンジェルマン、バスティーユなどパリ市内を6つの地区に分けての開催であるが、まずは、このイベントのパートナー企業でもある、オペラ、マドレーヌ地区の「ギャラリーラファイエット メゾン館」へ。ここは、いわゆる百貨店のインテリアやホームアクセサリー関連のみが独立したもの。短時間でトレンドのチェックや、効率的な買い物が可能な、観光客やマーケティングのためにも良い売り場である。ここでの企画は、ウィンドウにメゾンの展示会場より最新のプロダクトを展示、それを実際に1Fの売り場で販売もするというものであった。ギャラリーラファイエットにDESIGN WEEKの文字が躍れば、パリの街は自然に盛り上がる。
ちなみに、このPARIS DESIGN WEEKはインテリアとデザイン関係だけの参加ではなく、パリらしくファッションやフード、ギャラリーなどのアート関係も参加しているという事がユニークである。たとえば、パリを代表するファッションのセレクトショップ「COLETTE」も参加ショップだ。そのコレットには、なんと、シャネルのデザイナーとしてあまりに有名な、敏腕ファッションデザイナーのKARL LAGERFELD氏が、スエーデンのOrreforsとコラボしたグラスのコレクションがウィンドウに。これは、同氏が初めて手掛けたホームアクセサリー。一世紀を超える歴史を持つクリスタルブランドから出た、成熟した職人だけによって制作する事が可能という手吹きのグラスは、なんともいえない美しい姿で上品。 そして、シャンデリゼエリアのバラカミュージアムも圧巻であった。ミュージアムというに相応しい豪華な入口からは、いくつものテーマやデザイナー毎に構成された部屋が続く。注目すべきは、フィリップスタルクの部屋。今年170年を迎える歴史のあるブランドが、今を時めくインテリアデザイナーとのコラボで、最も新しいスタ イルとなり、注目され愛される。これもパリの長い装飾の歴史の1ページになっていくのであろう。
ヨーロッパでは新学期が始まる9月。秋が深まる季節のパリを、デザインウィークの地図を片手に歩くのも悪くない。メゾンは1月がメイン開催ではあるが、これからは9月のパリも是非お勧めである。 インテリアビジネスニュース 2011年10月10日号
9月9日から13日までの5日間、パリでMaison & Objetが開催された。今では日本でもすっかりお馴染みの通り、インテリア業界で現在、最も注目される国際見本市である。1月のメゾンとは異なり、9月開催のものは、規模は小さくなるが、特に欧州ではマーケットが膨らむクリスマス商戦に向けた仕入れなどで、会場は世界中からのバイヤーで盛り上がりを見せた。今回のテーマは、「SINGULARITE」。奇抜さ、特異性という意味である。これまで、グローバリゼーションによってコマーシャル的に世界中で拡げられていたマスプロダクションによる画一性はもう過ぎ去ったのだと、それを否定したもの。人と同じものは、もう誰も求めていないとオリジナリティを求め、「どこでも誰でも同じ」平凡なインテリアは捨てて、ライススタイルを選ぶ自由を満喫しようと発信した。トレンドブースで一番印象的だったものは、「Obsession Privees」(個人の持ち物)というテーマ。ちょっとしたくだらないもの、ちょっと変なものでもコレクターの情熱があれば、素敵なインテリアになる、と提案。その入口の超個性的なモチーフは、いかなる人も否定しない、個性を出そうよとでも主張しているかのようであった。(さすが、フランス!)
そして、なんと言って、今回注目すべきは、メゾンの運営会社のSAFIが、市内でPARIS DESIGN WEEKを今年からスタートさせた事である。これはロンドンやミラノ、そして東京やモスクワのデザインウィークにならったもので、メゾンがプロフェッショナルを対象にするのに対し、こちらはプロとプロフェッショナルの両方をターゲットとしている。もともとパリはオートクチュールが生まれた町。文化と歴史がすばらしく溶け合うパリを、インテリアやデザインのインターナショナルなプラットホームとして再構築しようと意図されたものである。会期は9月12日から18日からの一週間。デザインやインテリアのショールームだけではなく、ギャラリーや学校、ホテル、そしてレストランに至る約100企業または団体がイベントに参加し、コレクションやインスタレーションをそれぞれに発表した。