07 10月 2014
TT cafe 2014年度1回目の開催
日時:8月30日(土)16:00〜18:00
場所:大阪市中央区南本町「サエラ」
講師:幾島淳夫氏
テーマ:赤を掘る!
本日のトークは幾島淳夫氏が9個の鉢を会場に運ぶことから始まった。日本茜などアカネ科の植物である。氏はテキスタイルメーカーを経て専門学校で教鞭をとる傍ら染色の研究をしている。赤染の代表的は染料の蘇芳、紅花、茜、コチニールの中から特に今回は「茜」の話である。
日本には非常に多くの茜科の植物があるらしい。園芸種のペンタスや山野に自生しているヘクソカズラやヤエムグラは身近に見られる。
彼は自分のことをコレクターだと言う。実家には茜のみならず多数の染料のもとになる草木が1㎡ずつ育てられ、手に入りにくい品種は石垣島の業者に依頼して探してもらうほどの熱の入れようである。そんな彼が丁寧に自ら栽培し、同じ草木の部位による発色の違いにも留意しながら染色比較サンプルを蓄積している。サンプルを見ながら、栽培の苦労や染織の面白さを熱っぽく語ってくれた。
彼は、色柄デザインも大切であるが布や染織の来歴を知ることがより大切だと考えている。何をどう育て、どう作るか根源的な動き、有り様を探っているという。一方で、すべて天然だけが良いというのではなく化学染料の素晴らしさにも話が及んだ。化学染料の発明にも茜が関わっているらしい。
今回は一般からの参加もあり、建築・設計関係、印染工房、企画デザインの方達である。幾島氏は建築の方と共同で、木材の廃材を染料にして木材を染めるなどの研究もしている。
トークの後の懇親会でも「赤」の種類や栽培、染色作業、日常の観察、草木の採取など詳しく、楽しい話で弾んだ。
氏は3時間に渡って、土を耕し、人を耕し、生活を耕す事の大切さを熱く伝えてくれた。
レポート 板東 正